第3回日本蛋白質科学会年会のお知らせ
訃報 濱口 浩三 先生
訃報 大井 龍夫 先生
日本蛋白質科学会ニュースレター Vol. 3, No. 2 (203) 発行日 2003年2月7日
第3回日本蛋白質科学会年会のお知らせ
会期 | 2003年(平成15年)6月23日(月)〜25日(水) |
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会場 |
札幌コンベンションセンター(札幌市白石区東札幌6条1丁目) (札幌駅より地下鉄で10分、大通駅で東西線に乗換え、東札幌駅下車) TEL: 011-817-1010、FAX: 011-820-4300 |
年会実行委員長 | 稲垣 冬彦(北海道大学大学院薬学研究科) |
年会主題 | 「ポストゲノム時代の蛋白質研究 —原子レベルから細胞レベルまで—」 |
基調講演 |
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プログラム
シンポジウム
- 「細胞生物学と蛋白質研究の新しい潮流」
月田 承一郎(京大院医)、竹縄 忠臣(東大医科研)、箱守 仙一郎(ワシントン大学)
公募型シンポジウム
講演20分、討論10分に耐えうる、年会主題に沿ったまとまった研究について6演題公募します。演題申込時に1,200字以内の発表要旨をお送りください。申込者は本会会員に限ります。なお、公募型シンポジウムに採択されなかった場合は、一般演題への申込みができます。
ワークショップ
- 「組換え蛋白質生産技術の新展開」田村 具博(産総研)、中野 秀雄(名大院農)
- 「機能プロテオミックスの新手法」平野 久(横浜市大)、礒辺 俊明(都立大理)
- 「Pharmacoproteomics —プロテオームから創薬標的分子のデザイン—」野口 照久(テノックス研)、古谷 利夫(ファルマデザイン)
- 「ポストゲノム時代の遺伝子ネットワーク解析」柳川 弘志(慶大理工)、斉藤 輪太郎(慶應大先端生命研)
- 「in vivo 1分子観察 —細胞生物との接点—」金城 政孝(北大電子研)、村田 昌之(基生研)
- 「構造ゲノム科学の戦略」田中 勲(北大院理)、田之倉 優(東大院農)
- 「進化する構造生物学 —原子レベルから細胞レベルまで—」伊倉 光彦(トロント大)、津田 栄(産総研)
- 「構造生物学2003」神田 大輔(九大生医研)、箱嶋 敏男(奈良先端大)
- 「プロテイン・インフォマティクス」中村 春木(阪大蛋白研)
- 「コンピューターを用いたゲノム・プロテオーム解析方法の研究とその適用」大田 元規(東工大)、由良 敬(原研)
- 「膜蛋白の構造、機能とその機構」加茂 直樹(北大院薬)、出村 誠(北大院理)
- 「今日の蛋白質フォールディング研究 —フォールディング病研究を含めて—」新田 勝利(北大院理)、後藤 裕児(阪大蛋白研)
- 「次世代ポストゲノム研究 —糖鎖、脂質による蛋白質機能調節—」井ノ口 仁一(北大院薬)、西村 紳一郎(北大院理)
- 「未来へはばたく若手の力 —蛋白質科学の今と未来—」川原 裕之(北大院薬)、相沢 智康(北大院理)
一般演題
一般演題(ポスター発表)を公募します。申込者は本会会員に限ります。なお、代表発表者としての演題申込みは1名1演題に限ります。
締切期日
- 公募型シンポジウム(口演)演題締切:4月1日(火)
- 公募型シンポジウム採択決定:4月7日(月)
- 一般演題(ポスター)締切:4月16日(水)
- 参加登録予約締切:5月12日(月)(以後は当日会場にて受付)
予約参加費
- 一般 6,000円(当日 7,000円)
- 学生 4,500円(当日 5,000円)
(プログラム・要旨集を含む)
懇親会(6月24日(火))参加費
- 一般 7,000円(当日 8,000円)
- 学生 3,000円(当日 4,000円)
参加登録予約、演題の申込み
参加登録予約、および演題の申込は、ホームページで受付いたします。シンポジウム/ワークショップの企画に関してもホームページ上に順次掲載いたしますのでご覧ください。
大会事務局
- 第3回日本蛋白質科学会年会事務局
- 〒560-0082 豊中市新千里東町1-4-2 千里 LC ビル14階 学会センター関西内
- Tel: 06-6873-2301/Fax: 06-6873-2300
- E-mail: pssj2003@bcasj.or.jp
- URL: http://edpex104.bcasj.or.jp/pssj2003/
訃報 濱口 浩三 先生
濱口 浩三 先生(大阪大学名誉教授)は、昨年(2002年)2月28日、多臓器不全のため75才でご逝去されました。先生は本会の前身のひとつである、「蛋白質構造討論会」において、その初期から常に中心的役割を担われました。時間が経ってしまいますが、皆様にご連絡するとともに、濱口先生のご業績を簡単にご紹介します。
故濱口先生の蛋白質研究は蛋白質の立体構造のまだ明らかでなかった1949年にはじまり、立体構造解明の絶頂期を迎えた1990年までにわたります。蛋白質の構造と機能の相関、蛋白質の変性とフォールディング反応に関する研究を、卵白リゾチーム、免疫グロブリンなどを用いて大変活発に展開されました。これらの研究は、今日の構造生物学の先駆けとなるものでした。先生に対する追悼記事は別に発表されていますので、詳細な研究業績やお人柄についてはご参考下さい(文献1-3)。
ここに、ご冥福をお祈り申し上げます。
後藤 祐児(大阪大学・蛋白質研究所)
参考文献
- 後藤祐児:濱口浩三先生の研究「私が愛した蛋白質」、蛋白質核酸酵素 47, 740 (2002)
- 猪飼篤:上品なアカデミズム —日本理学の伝統、蛋白質核酸酵素 47, 741 (2002)
- 故濱口浩三教授業績・追悼集、濱口浩三先生同窓会、2002年12月:興味がお有りの方は後藤(ygoto@protein.osaka-u.ac.jp)までご連絡下さい。
訃報 大井 龍夫 先生
大井 龍夫 先生(京都大名誉教授)が、昨年(2002年)9月25日、急性白血病で急逝されました。ここに、ご冥福をお祈り申し上げます。
大井先生は、蛋白質の生物物理学の分野で、筋肉蛋白質の研究、蛋白質のフォールディングの研究、蛋白質立体構造の理論的研究、などで著名な業績を上げられました。特に、Ooi−Oobatakeの方法として知られる、接触表面積を用いた水和自由エネルギーの評価の方法(文献1)は、蛋白質の立体構造からその熱力学的安定性を議論することを可能にしたことで、理論研究の一時代を画したと言えます。そのご研究は、文献2に集大成されています。
共同研究者の清水青史氏(University of Toronto)によれば、8月に受け取ったメールには、変性状態の構造を取り入れた計算の計画について書かれていたとのことです。出版されたばかりのレビュー(文献3)にも、サイエンティストとしての生涯を貫かれたことを知ることができます。
またここに、Ooi–Oobatake の方法の今一人の方である、大畠玄久氏(名城大学教授)が、去る8月9日に、事故で急逝されたことにも言及せざるを得ません。蛋白質理論研究に大きな寄与をされてきたふたりの研究者を相次いで失うこととなりました。
木寺 詔紀(横浜市立大学大学院総合理学研究科)
参考文献
- Accessible surface area as a measure of the thermodynamic parameters of hydration of peptides
T. Ooi, M. Oobatake, G. Nemethy, and H. A. Scheraga
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84, 3086–90 (1987) - Hydration and heat stability effects on protein unfolding
M. Oobatake and T. Ooi
Prog. Biophys. Mol. Biol. 59, 237–84 (1993) - Molecular life of proteins: Folding and stability
T. Ooi and S. Shimizu
Recent Research Developments in Protein Folding, Stability and Design, 2002, 243–264 (Ed. M. M. Gromiha and S. Selvaraj).