第15回蛋白質科学会年会(徳島市あわぎんホール、2015年6月24日〜26日)の大会前日である6月23日に年会D会場にて第2回蛋白質工学研究会ワークショップが開催されました。本年は、西川光郎先生(大塚製薬)、前田宜丈先生(協和発酵キリン)、津本浩平先生(東大・工、医科研)が世話人となり、基礎研究だけでなくバイオ医薬品等の開発研究でも特に要請の強い「蛋白質の機能発現における糖鎖機能研究」について、下記の4名の専門家に御講演頂きました。
- 笠井 献一先生 帝京大学名誉教授(元薬学部生物化学教室)
「インテリジェントな糖が教えてくれる生命の奥の深さ」 - 鈴木 匡先生 理化学研究所 糖鎖代謝学研究チーム チームリーダー
「グライコフォームイメージングと糖タンパク質の細胞内動態解析」 - 加藤 晃一先生 岡崎統合バイオサイエンスセンター 教授
「糖鎖の3次元構造ダイナミクスと分子間相互作用」 - 斎藤 誠嗣先生 協和発酵キリン株式会社 創薬基盤研究所
「バイオ医薬品に生かされている糖鎖制御及び糖鎖分析の実際」
会場にはバイオ医薬品開発に関心をお持ちの産業界の方とアカデミア研究者が多く参加されました。
笠井先生は、蛋白質や核酸とは違う、「糖」に取り組むに際して、押さえておくべき基盤を丁寧に分かりやすく、かつ大変魅力的に解説頂きました。引き続いて鈴木先生は特定の糖鎖修飾を受けた分子の可視化や糖タンパク質の細胞内動態解析について、長年のご研究成果をベースにご講演頂きました。加藤先生は、糖鎖の構造生物学、さらには抗体のFcとその受容体であるFcR間の分子間相互作用への糖鎖の関与について、膨大な研究結果を示しながらご講演頂きました。斎藤先生には、企業研究者の立場から、バイオ医薬品の糖鎖修飾の解析の重要性をご講演頂きました。いずれの講演内容も非常に興味深く、糖鎖の基礎から最先端の糖鎖機能研究までを勉強する良い機会になりました。各先生方の講演時間に特段の制限を設けなかったため、ワークショップの予定終了時間をオーバーしましたが、会場は大いに盛り上がり、参加された方々は大変満足されていました。また、講演を拝聴し、改めて蛋白質科学における糖鎖研究の重要性が認識されたかと思います。
なお、本ワークショップは、昨年と同様、シスメックス社後援のもと、日本蛋白質科学会・蛋白質工学研究会主催にて実施いたしました。ご後援頂いたシスメックス社に感謝いたします。
日本蛋白質科学会 広報担当 内山 進
日本蛋白質科学会 蛋白質工学研究会 世話人 津本浩平