二十世紀後半は生物科学・生命科学が急速に進展し、蛋白質構造・機能の研究もますます盛んになってきている。蛋白質は生物体の構築はもとよりあらゆる生物機能に関して中心的役割を果たしている物質であるから、生物機能を理解し、人間が健康を維持していくためにも蛋白質の研究が多角的に盛んに進められている。1970年代に遺伝子DNAの塩基配列順序を解析する方法が出現してからは遺伝子に含まれる蛋白質のアミノ酸配列に関する情報を読みとることが可能になったばかりか、特定のアミノ酸配列を持った蛋白質を人為的に手易く合成することが可能になった。この遺伝子工学・蛋白質工学という技術的進歩が生物科学・生命科学に与えた影響は計り知れない程大きい。
種々の生物の遺伝子全体を含むゲノムの全塩基配列を明らかにすることが世界的に大きな課題として取り上げられ、ヒトのゲノムの全配列を明らかにするヒト・ゲノムプロジェクトが国際的な協力のもとに急速に進められている。塩基の配列を知ることは生物体の機能の理解のための一つのステップであるが、その先に必要なことは個々の蛋白質が持つ特定の立体構造と性質を明らかにすることであり、また蛋白質同士や蛋白質と他物質との相互作用を解析することである。こうして、あらゆる生理作用や病気のよって来たるところを蛋白質分子のレベルで解明することは生物科学を進めるだけでなく、医学的問題の解決や生物生産や生体関連物質生産など応用的課題の解決に役立てることができる。
このような状態にある蛋白質科学の研究者が研究情報を交換し、研究環境を整えて研究を進展させるために一つの組織を結成することは至極当然の成り行きであった。これまでわが国では蛋白質構造討論会が毎年一回開催され、1999年には第50回を迎えた。一方、日本蛋白工学会は蛋白質科学者の集まりとして毎年年会を開催するほか、この分野の国際的交流にも務めてきた。1998年からはこの二つの学会が合同年会を持つようになった。また、文部省の科学研究費重点領域研究から出発した「タンパク質の立体構造構築原理」ワークショップが開催されていたが、1999年には上記合同年会と同時開催とし、2000年にはこの三つの集会が全く融合した形で合同年会を持つことになった。三つのグループに重複して参加している人も多いので三つのグループは年会だけでなく組織として一本化し、さらに関連の研究者達にも呼びかけて新たに蛋白質科学に関係のある研究者の集合体を構築しようという気運が盛り上がってきた。
こうした流れの中で日本蛋白質科学会は2001年4月1日に日本蛋白工学会、蛋白質構造討論会、蛋白質立体構造構築原理研究会が母体となって発足した。
母体となった団体のなかで日本蛋白工学会が日本学術会議に登録された学会組織を持っていた為、日本蛋白工学会の改組改名という形で学術会議に届け出て、新しく日本蛋白質科学会がスタートしたが、実際には全く新しい学会が誕生したと受け取って頂きたい。
蛋白質科学の分野はゲノムプロジェクトの影響で急速に発展し、新世代を迎えようとしている。当学会は年会を通じ、若手研究者が構造から機能、新たな実験法から理論的計算、物理化学から生理機能に至るまで、世界的に著名な研究者の講義を聴く機会もあり、ポストゲノム時代における新しい世代の活躍を期待している。
沿革
二十世紀後半は生物科学・生命科学が急速に進展し、蛋白質構造・機能の研究もますます盛んになってきている。蛋白質は生物体の構築はもとよりあらゆる生物機能に関して中心的役割を果たしている物質であるから、生物機能を理解し、人間が健康を維持していくためにも蛋白質の研究が多角的に盛んに進められている。1970年代に遺伝子DNAの塩基配列順序を解析する方法が出現してからは遺伝子に含まれる蛋白質のアミノ酸配列に関する情報を読みとることが可能になったばかりか、特定のアミノ酸配列を持った蛋白質を人為的に手易く合成することが可能になった。この遺伝子工学・蛋白質工学という技術的進歩が生物科学・生命科学に与えた影響は計り知れない程大きい。
種々の生物の遺伝子全体を含むゲノムの全塩基配列を明らかにすることが世界的に大きな課題として取り上げられ、ヒトのゲノムの全配列を明らかにするヒト・ゲノムプロジェクトが国際的な協力のもとに急速に進められている。塩基の配列を知ることは生物体の機能の理解のための一つのステップであるが、その先に必要なことは個々の蛋白質が持つ特定の立体構造と性質を明らかにすることであり、また蛋白質同士や蛋白質と他物質との相互作用を解析することである。こうして、あらゆる生理作用や病気のよって来たるところを蛋白質分子のレベルで解明することは生物科学を進めるだけでなく、医学的問題の解決や生物生産や生体関連物質生産など応用的課題の解決に役立てることができる。
このような状態にある蛋白質科学の研究者が研究情報を交換し、研究環境を整えて研究を進展させるために一つの組織を結成することは至極当然の成り行きであった。これまでわが国では蛋白質構造討論会が毎年一回開催され、1999年には第50回を迎えた。一方、日本蛋白工学会は蛋白質科学者の集まりとして毎年年会を開催するほか、この分野の国際的交流にも務めてきた。1998年からはこの二つの学会が合同年会を持つようになった。また、文部省の科学研究費重点領域研究から出発した「タンパク質の立体構造構築原理」ワークショップが開催されていたが、1999年には上記合同年会と同時開催とし、2000年にはこの三つの集会が全く融合した形で合同年会を持つことになった。三つのグループに重複して参加している人も多いので三つのグループは年会だけでなく組織として一本化し、さらに関連の研究者達にも呼びかけて新たに蛋白質科学に関係のある研究者の集合体を構築しようという気運が盛り上がってきた。
こうした流れの中で日本蛋白質科学会は2001年4月1日に日本蛋白工学会、蛋白質構造討論会、蛋白質立体構造構築原理研究会が母体となって発足した。
母体となった団体のなかで日本蛋白工学会が日本学術会議に登録された学会組織を持っていた為、日本蛋白工学会の改組改名という形で学術会議に届け出て、新しく日本蛋白質科学会がスタートしたが、実際には全く新しい学会が誕生したと受け取って頂きたい。
蛋白質科学の分野はゲノムプロジェクトの影響で急速に発展し、新世代を迎えようとしている。当学会は年会を通じ、若手研究者が構造から機能、新たな実験法から理論的計算、物理化学から生理機能に至るまで、世界的に著名な研究者の講義を聴く機会もあり、ポストゲノム時代における新しい世代の活躍を期待している。