シリーズ「わが国の蛋白質科学研究発展の歴史」

日本蛋白質科学会は,2001年に設立された若い学会です。しかしその設立にあたっては,日本蛋白工学会,蛋白質構造討論会など複数の蛋白質科学関連の組織や研究集会が合流してできたという経緯があります。なかでも蛋白質構造討論会は1950年の討論会にまで遡ることができます。こうした経緯から,本学会には,わが国の,そして世界の蛋白質科学の研究を黎明期から先導されてきた多くの方々が関わってこられました。ところが,そうした諸先輩の先生方が,いま少しずつ現役を退いていかれています。情報過多の時代だからこそ,逆にわが国の蛋白質科学研究発展の歴史を記録し,諸先輩方の研究の足跡を知り,そのお考えを継承していくことの重要性が高まっています。そこで日本蛋白質科学会では,本学会に関連の深い先生方に,わが国の蛋白質科学研究の歴史とご自身の研究史を振り返っていただき,エッセイをご執筆いただくことをお願いすることにしました。幸い多くの先生方がこのお願いを快諾され,すでに多くの貴重なお原稿が集まってきております。ご執筆いただいた文章は,順次,本学会のニュースレターで配信させていただくとともに,本学会のホームページのアーカイブに収録し,いつでも皆さんに読んでいただけるようにします。会員の皆さんには,ぜひ本企画を楽しんでいただければ幸いです。

最後に今回、当学会の依頼に応えて「我が国の蛋白質科学の発展の歴史」に関するエッセイをご執筆いただいた諸先輩の先生方に,本学会および有坂文雄先生を中心とした企画編集委員会,広報委員会を代表いたしまして,厚く感謝申し上げます。

2014~2015年度日本蛋白質科学会会長 遠藤斗志也


第1回「揺籃期」

第2回「Cytochrome P450 の発見」

第3回「我々がたどった道: ホスホリラーゼから始めて」

第4回「ATP 合成酵素の発見から人体エネルギー学まで」

第5回「岩永貞昭先生が歩んでこられた道」
聞き手 宮田敏行

第6回「模索の頃の蛋白質科学」

第7回「私の蛋白研究、ヒドロゲナーゼとその周辺」

第8回「ペプチド ― 酵素 ― 不和合性 蛋白質化学の一断面」

「赤堀四郎先生 生誕100年に想う」
蛋白質 核酸 酵素, 46, 273-5, 2001(共立出版株式会社の許可を得て転載:複製、再配布、二次利用など不可)

第9回「私のタンパク質科学回顧: RNase T1 の一次構造研究に関わった頃」

第10回「蛋白質構造研究への超伝導 NMR の導入」

第11回「共鳴ラマン分光法の蛋白質構造研究へ応用黎明期」

第12回「構造生物学と私」

第13回「遺伝情報の産物という側面に注目して蛋白質を観る」

第14回「タンパク質およびウイルスの結晶構造解析」

第15回「私の蛋白質研究と蛋白質科学会」

第16回「蛋白質のかたち、立体構造の安定性研究 ―50余年の私の研究の歩み―」

第17回「蛋白質結晶学取り組んだ最初の頃」

第18回「構造を基礎とした生命機能理解の試み」

第19回「私の蛋白質科学 大学院、蛋白研からアメリカでの研究まで」

第20回「思い出([I] 大昔と [II] その後)」

第21回「タンパク質研究の展開と延長」

第22回「蛋白質科学会設立のころ」
2018年11月21日 更新

「わが青春 赤堀四郎」
静岡新聞にて連載(静岡新聞社編集局調査部許諾済み)

第23回「タンパク質と NMR」

第24回「井本先生のリゾチームに関する蛋白質研究の足跡」
聞き手 植田正

第25回「⼯学系で蛋⽩質研究を模索して」

第26回「プロテイン、プロテオーム、プロテオミクス」

第27回「一次構造から高次構造探求への道 — 終点は新たな出発点」

第28回「蛋白質の分子集合と構造生物学」