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昆虫培養細胞由来無細胞蛋白質合成試薬キット
Transdirect insect cell を用いた蛋白質発現

島津製作所・分析計測事業部・ライフサイエンス事業統括部・バイオ・臨床ビジネスユニット
江 連徹、鈴木 崇、伊東 昌章、四方 正光

(投稿日2008/4/14、再投稿日2008/4/24、受理日2008/4/24)

キーワード:無細胞タンパク質合成、昆虫細胞、翻訳促進配列

概要等    詳細1    詳細2    工夫とコツ    PDF

工夫とコツ
1: EcoRVとバッファーが同一でも高いライゲーション効率を得るために、一度エタノール沈殿で精製した後、もう一方の制限酵素消化を行うことをお奨めする。

2: プラスミドの抽出にキットを用いた場合、その際に使用されるRNase Aも僅かながら混入してくる。この僅かな混入がmRNA合成に大きく影響することがあるため、フェノール/クロロホルム抽出はこのステップにおいて必ず行うこと。

3: 推奨キットについてはTransdirect取説8ページ参照。

4: いずれのキットもバッファーが溶解しにくい場合がある。このような場合、完全に溶解させないと著しく反応効率が低下する。溶けにくい場合は、60℃で数分加温すると速やかに溶解するため、必ず完全に溶解させてから使用すること。また、反応時間は厳守すること。特に鋳型のサイズが大きい場合、過剰な反応を行うと、反応中に沈殿を生じる事がある。沈殿が生じてしまうと、mRNAは回収できない。このような場合は、@反応時間を20分程度まで短縮する、A鋳型DNAの量を2-3割程度減らす、B鋳型を制限酵素処理ではなく、PCRにより調製するなどで改善が見られる。

5: エタノール沈殿時に乾固させてしまうと、mRNAが水に溶解できなくなる。そのため、mRNAは乾固させず、70%エタノールでのリンス後は、ピペットで余分なエタノールを除去する程度で構わない。

6: Reaction Bufferと4 mM Methionineは、室温で溶解しても構わない。使用後の各試薬は速やかにフリーザーへと戻す。Insect Cell Extractの凍結融解は、8回程度までその性能に影響がないことを確認している。

7: 反応スケールは目的に応じて自由に変えることが可能であり、スケールアップまたはダウンによる合成効率の低下は認められていない。また、RNaseインヒビターを反応系に最終濃度1unit/μLで添加することにより、タンパク質合成量が改善されることがある。

8: 本手法では、20kDa付近に未反応のFluoroTect試薬である、蛍光標識リジン-tRNAが検出されるため、目的タンパク質が20kDa以下と予想される場合は、反応終了後の反応液をRNase Aで処理すると、容易に目的タンパク質が検出できる。

9: 目的のタンパク質によっては、後に示すようなスペーサー配列の導入が必要な場合もあるため、まずは精製を行う前に、「W:タンパク質の発現確認」で示したような発現確認を行うとトラブルが生じた時に対処しやすい。

10: 溶出液にDesthiobiotinを用いた場合、カラムの再生が可能である。再生法については、Strep-Tactin® Superflow添付の取扱説明書を参照すること。5-10回程度であれば、極端な収率の低下は認められていない。

11: カラムの再生が可能である。再生法については、Anti-FLAG® M2 Agarose from mouse添付の取扱説明書を参照すること。5-10回程度であれば、極端な収率の低下は認められていない。

参考文献
1) Ezure, T., Suzuki, T., Higashide, S., Shintani, E., Endo, K., Kobayashi, S., Shikata, M., Ito, M., Tanimizu, K., and Nishimura, O. (2006) Cell-free protein synthesis system prepared from insect cells by freeze-thawing. Biotechnol. Prog. 22, 1570-1577.
2) Suzuki, T., Ito, M., Ezure, T., Kobayashi, S., Shikata, M., Tanimizu, K., and Nishimura, O. (2006) Performance of expression vector, pTD1, in insect cell-free translation system. J. Biosci. Bioeng. 102, 69-71.
3) Suzuki, T., Ito, M., Ezure, T., Shikata, M., Ando, E., Utsumi, T., Tsunasawa, S., and Nishimura, O. (2006) N-Terminal protein modifications in an insect cell-free protein synthesis system and their identification by mass spectrometry. Proteomics 6, 4486-4495.
4) Suzuki, T., Ito, M., Ezure, T., Shikata, M., Ando, E., Utsumi, T., Tsunasawa, S., and Nishimura, O. (2007) Protein prenylation in an insect cell-free protein synthesis system and identification of products by mass spectrometry. Proteomics 7, 1942-1950.

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